1. なぜN26のEURを日本へ移すことにしたのか
ドイツ赴任中に使っていたN26に、1万ユーロを超えるまとまった残高が残っていました。帰国後もしばらくそのままにしていたのですが、N26から住所確認を求められたことをきっかけに、日本へ資金を移すことにしました。
今回の条件はシンプルです。
「ユーロを円に替えたくない。EURのまま日本へ持ってきたい。」
日本側では、SMBC信託銀行のPRESTIA MultiMoney口座を持っているので、最終的にはそこへEURのまま着金させることを目標にしました。
結論から書くと、
N26
↓
Wise(EUR)
↓
PRESTIA(EUR)
というルートで、円転することなく資金を日本へ移すことができました。しかも、本番送金でもWiseの手数料は5.69 EUR。Wiseが表示した受取予定額が、そのままPRESTIAのEUR口座へ着金しました。
以下、実際に試したことと、ハマったポイントをまとめます。
※以下は2026年8月時点での実体験です。N26、Wise、PRESTIAの仕様や手数料、対応通貨などは変更される可能性があります。実際に送金する際は、各社の最新情報を確認してください。
2. まず試した送金ルート
N26からPRESTIAへ直接送れないか?
最初は当然、
N26 → PRESTIA
と直接送れないかと考えました。PRESTIA側にはEURを受け取れる外貨口座があるので、銀行間でそのままSWIFT送金できれば一番シンプルです。
ただ、今回利用したN26の送金画面では、日本のPRESTIAへEURをそのまま送る方法を見つけられませんでした。
N26のマルチカレンシー送金も試した
N26には海外向けのマルチカレンシー送金機能があります。こちらはWiseのプラットフォームを利用しているようなので、「これならPRESTIAへ直接送れるのでは?」とも考えました。
実際に送金画面まで進めてみましたが、日本向けの着金通貨としてEURを選択できませんでした。
つまり、
N26のEUR → 日本のPRESTIAへEURのまま
という直接ルートは、少なくとも今回利用した機能・画面では使えませんでした。
Wiseを中継することに
以前からWiseのアカウントを持っていて、EURの受取用IBANも発行されていました。N26からこのWiseのEUR口座へ送るのであれば、欧州域内のSEPA送金として処理できます。
そこで、
N26 → 自分名義のWise EUR口座
へ一度移し、その後WiseからPRESTIAへ送ることにしました。
3. N26からWiseへSEPA Instantで移動
まず20 EURでテスト
いきなりまとまった金額を送るのは少し怖かったので、まずは20 EURだけテスト送金しました。N26でWiseのIBANを登録すると、受取人名義の照合も行われ、自分の名前と一致していることを確認できました。
20 EURをSEPA Instantで送ったところ、Wise側にはほぼ即時で着金。これで、
N26 → Wise EUR
のルートは問題ないことが確認できました。
本番でエラー。原因はInstant Transferの日次上限
本番送金では少しハマりました。最初にまとまった金額をSEPA Instantで送ろうとしたところ、エラー。
PC版では単に「unexpected error」のような表示だったので原因が分かりにくかったのですが、スマートフォン版では、1日のInstant Transfer上限を超えていることが表示されました。
今回の設定では、初期の日次上限は10,000 EURでした。N26アプリでInstant Transferの日次上限を50,000 EURへ変更し、PINによる認証を行ったところ、本番送金が可能になりました。
送金コメントには資金移動の目的を記載
送金時のコメントには、
Transfer of personal savings to own Wise account
と記載しました。自分の貯蓄を自分名義のWise口座へ移す、という意味です。
金額が大きかったため、途中でN26から「本当に信頼できる送金先か」という詐欺防止の警告も表示されました。送金先は自分自身のWise口座であり、少額テストも済んでいたため、そのまま進めました。
本番もSEPA Instantで送金し、Wise側への着金をすぐ確認できました。
4. WiseからPRESTIAへEURのままSWIFT送金
本当にEURのまま日本へ送れるのか?
次の問題は、
Wise → PRESTIA
です。
Wiseから日本円で日本の銀行へ送れることは知っていましたが、今回やりたいのはEURのままの送金です。ちょうどPRESTIAの支店で手続きをする機会があったので、担当の方にも相談しながら少額送金を試してみました。
10 EURでテスト送金
WiseからPRESTIAのEUR口座へ10 EURをテスト送金しました。Wiseでは中継銀行を自分で指定する欄はなく、SWIFTのルートはWise側で決まります。
送金時には、PRESTIAの担当者からのアドバイスで、備考欄に
do not convert to JPY
と記載しました。このコメントが実際の処理にどこまで影響したのかは分かりませんが、「円へ換えずEURで受け取りたい」という意図を明確にしておきました。
10 EUR送ったら、手数料は5.69 EUR(笑)
少額テストなので仕方ないのですが、10 EURの送金に対するWiseの手数料は5.69 EURでした。
つまりPRESTIAへ送られる予定額は、
10.00 EUR − 5.69 EUR = 4.31 EUR
です。手数料率だけ見ると、とんでもないことになっています(笑)。
ただし今回の目的は「手数料を安くすること」ではなく、「本当にEURのままPRESTIAに届くのか」を確認すること。
結果として、PRESTIAのMultiMoney EUR口座に4.31 EURがそのまま着金しました。円転されていません。
さらに、このテストではWiseが表示した4.31 EURがそのまま着金したため、少なくともこの取引では中継銀行による追加控除も確認されませんでした。
これで、
Wise EUR → PRESTIA EUR
も実際に使えることが確認できました。5.69 EURは「実験代」と考えれば、十分価値のあるテストでした。
5. Wise→PRESTIAはどのくらいで着金したか
Wise→PRESTIAは即時送金ではありませんでした。ただ、今回のケースでは、10 EURのテスト送金、本番送金ともに、Wiseで送金手続きをしてからおよそ19時間後にPRESTIAのEUR口座への着金を確認できました。
どちらも翌日の着金です。また、本番送金時にWiseが表示していた到着予定よりも、実際にはかなり早く着金しました。
少額のテスト送金と、1万EURを超える本番送金で、着金までの時間がほぼ同じだったのは少し意外でした。
もちろん、SWIFT送金なので毎回同じ時間で届くとは限りません。中継銀行や受取銀行の処理状況、休日などによって変わる可能性があります。
今回については、
「即時ではないが、翌日には着金した」
という結果でした。
6. 本番送金
1万EURを超える金額を一括送金
少額テストが成功したので、Wiseに移した資金をPRESTIAへまとめて送ることにしました。正確な金額は伏せますが、1万ユーロを超えるまとまった金額です。
Wiseで本番の送金額を入力してみると、驚いたことに手数料は少額テスト時と同じ5.69 EURでした。
10 EURを送っても5.69 EUR。1万EURを超える送金でも5.69 EUR。
少額テストでは強烈に高く感じましたが、まとまった金額を送るのであれば、逆にかなり小さなコストです。
本番でもEURのまま着金
今回も、
送金元通貨:EUR
受取通貨:EUR
送金先:PRESTIAのMultiMoney EUR口座
備考:do not convert to JPY
として一括送金しました。
そして最終的に、Wiseが送金前に表示していた受取予定額が、そのままPRESTIAのMultiMoney EUR口座へ着金しました。円への換算はありません。
また、本番送金でも中継銀行による追加の手数料控除は確認されませんでした。
つまり今回の実績では、
Wiseで指定した総額
− Wise手数料 5.69 EUR
= PRESTIAへの実際の着金額
となりました。これはかなりきれいな結果でした。
7. なぜ本番は分割せず一括送金したのか
まとまった金額なので、「何回かに分割した方が安全なのでは?」とも考えました。
この点についてPRESTIAの窓口でも、「自分名義の海外口座から自分名義の日本口座へ資金移動する場合、一括と分割のどちらがよいか」を確認しました。
回答は、むしろ一括の方が自然とのこと。正当な自己資金であるにもかかわらず、不自然に細かく分けると、「なぜ分割したのか」という疑問を持たれる可能性もあるとの話でした。
そこで今回は、
少額テストで経路確認
↓
本番は一括送金
という方法にしました。
結果として、N26→WiseもWise→PRESTIAもこの方法で問題なく完了しました。
8. まとまった資金なので、資金の出所を説明できる資料も保存
今回のEURは、ドイツ赴任中に得た給与などを貯めたものです。念のため、N26から以下の資料を保存しておきました。
・過去の入出金明細
・給与振込が確認できる履歴
・N26からWiseへの本番送金のTransfer Confirmation
N26の明細を見ると、勤務先のドイツ法人から「LOHN / GEHALT」という名目で給与が振り込まれていることも確認できます。
Wise側でも、
・N26からまとまったEURを受け取った記録
・WiseからPRESTIAへ送った記録
・送金証明書
を保存しました。
これで、
勤務先から給与を受領
↓
N26で貯蓄
↓
自分名義のWiseへ移動
↓
自分名義のPRESTIAへ移動
という資金の流れを後から説明できます。
まとまった海外送金では、資金の出所について確認を求められる可能性もあります。今回は、こちらから先に大量の資料を提出したわけではなく、必要になったときに説明できるよう証跡だけ確保しておくことにしました。
9. そもそも、なぜ急いでN26から出金したのか
今回資金を動かす直接のきっかけは、N26から届いた住所確認でした。N26へログインするたびに、「指定日までに住所などの情報を確認しないと、口座に制限がかかる可能性がある」というメッセージが表示されていました。
すでに日本へ帰国しているため、N26へ現在の居住国が日本であることを伝えました。
N26のチャットサポートにも、「将来またヨーロッパに住む可能性があるので、口座だけ残しておくことはできないか」と確認しましたが、回答は残念ながら不可。
日本はN26のサービス提供対象国ではないため、日本居住中は口座を維持できず、口座を閉じる必要があるとの案内でした。将来また対応国へ居住することになれば、そのとき新たにN26口座を作ることは可能とのことでした。
そのため、N26に残っていたEURは最終的にすべて移動し、N26の残高は0 EURにしました。
10. Wiseの登録住所を日本へ変更、その後本人確認も
今回確認してみると、Wiseの登録住所もドイツ赴任時のままになっていました。
Wiseでは自分で居住国をGermanyからJapanへ変更できなかったため、サポートへ連絡。コールバックで事情を説明したところ、Wise側で住所変更の手続きをしてもらえることになりました。
その後メールで、日本の住所、市区町村、都道府県、郵便番号、職業をローマ字で返信するよう案内され、住所変更は無事に完了しました。
Wiseの画面でも日本居住者向けの条件に切り替わり、通常の保有限度額として1,000,000 JPYが表示されるようになりました。画面上では、必要に応じて一定期間、保有限度額を引き上げられる案内も表示されています。
さらに住所変更後、Wiseから本人確認を求めるメールも届きました。手続きでは、本人確認書類を写真に撮り、あわせてセルフィーによる本人確認を行うよう求められました。
つまり今回のケースでは、居住国をドイツから日本へ変更すると、単に登録住所を書き換えて終わりではなく、その後に日本居住者として本人確認の手続きも発生しました。
今回については、まとまったEURをPRESTIAへ移し終えた後にWiseの住所変更を行ったため、保有限度額や追加の本人確認を気にしながら資金移動をする必要はありませんでした。
海外赴任から帰国した後にWiseを引き続き利用している方は、登録住所が赴任先のままになっていないか確認しておいた方がよさそうです。また、居住国を日本へ変更すると、保有限度額などの口座条件が変わったり、追加の本人確認が必要になったりする可能性がある点にも注意が必要です。
11. まとめ ― 最終的な送金ルート
最終的な資金移動は、
N26
↓ SEPA Instant
Wise EUR
↓ SWIFT
PRESTIA MultiMoney EUR
というルートになりました。
今回のポイントを簡単にまとめると、
・N26からWise EUR口座へはSEPA Instantで送金できた
・N26のInstant Transferには日次上限があり、今回は設定変更が必要だった
・WiseからPRESTIAへEURのままSWIFT送金できた
・Wise→PRESTIAの手数料は、10 EURのテストも1万EUR超の本番も5.69 EURだった
・テスト、本番ともおよそ18時間40分で翌日着金した
・今回の取引では中継銀行による追加控除は確認されず、円転も発生しなかった
・N26は日本居住では維持できないとの案内を受け、残高を0にした
・Wiseも日本住所へ変更し、日本居住者向けの口座条件に切り替わった
・住所変更後には、本人確認書類の撮影とセルフィーによる本人確認も求められた
結果として、ドイツ赴任時にN26へ残していたEURを、EURのまま日本のPRESTIAへ移すことができました。
途中で、「N26から直接送れるのでは?」「Wiseから日本へEURのまま送れるのか?」「中継銀行で手数料を引かれないか?」「まとまった金額でもちゃんと着金するのか?」など、分からないことがいくつもありました。
結局、一番安心できたのは、
「少額で実際に試してから本番を一括送金する」
ことでした。
海外赴任後にN26などの欧州口座へEURを残したまま帰国し、「円転せず日本へ持ってきたい」と考えている方には、ひとつの実例として参考になればと思います。
※この記事は個人の実体験を記録したものであり、金融商品の勧誘や個別の金融・税務アドバイスではありません。送金サービスの仕様、手数料、対応国・通貨、銀行側の受取条件などは変更される可能性があります。また、居住国や口座の状態によって利用できる機能が異なる場合がありますので、実際の手続き時には各金融機関の最新情報をご確認ください。