ドコモアカデミー第7期説明会で話して、あらためて気づいたこと

昨日8月26日、ドコモアカデミー第7期の説明会で、卒業生として話をする機会をいただいた。僕が参加したのは2023年度の第4期で、同年、少し遅れてスタートしたドコモスタートアップカレッジ第1期にも参加した。今回の説明会では、当時なぜ参加したのか、そこでどんな経験をしたのか、それがその後の自分にどう残っているのかを話した。

準備にあたっては、当時の資料やSlackのやり取りを久しぶりに見返し、その後の出来事まで含めて振り返った。そこで気づいたのは、参加していた頃から自覚していたものに加えて、当時はドコモアカデミーとのつながりを意識していなかった、その後の考え方や行動の中にも、そこで得たものが残っていたことだった。

参加のきっかけは、かなり現実的だった

ドコモアカデミーは、NTTドコモが運営する企業内大学で、多様な分野の講師による講義やメンターとの対話、参加者同士の活動などが組み込まれている。ただ、僕自身は最初から新規事業をやりたくて応募したわけではない。その少し前まで、ドイツ・ミュンヘンにあるドコモ欧州研究所で社長兼所長をしており、海外赴任からの帰任が決まった頃、これからのキャリアについて改めて考えるようになっていた。

すぐに転職するのではなく、まずは自分自身の価値を高めたい。そのために考えたのが、いろいろな人の話を聞いて自分の引き出しを増やすことと、これまであまり接してこなかった世界にも触れてみることだった。そんな時期にドコモアカデミーを知り、さまざまな分野で活躍する人たちの講演を勤務時間の中で聞けるなら、「これはコスパがいい」と思った。当初は、「まずは講演を聞ければ十分」というくらいの気持ちだった。

多様な講演と、独特なコミュニケーション文化

実際に参加すると、短期間にさまざまな分野の人たちの話を聞くことになった。自分の考えと強く共鳴する話もあれば、自分とは違う考え方だと感じる話もあったが、その違いも含めて考える材料になった。自分と近い考え方に触れれば、それまで考えていたことを整理したり深めたりできるし、自分とは違う考え方に触れれば、「自分ならどう考えるのか」「なぜ自分はそう考えるのか」を考えるきっかけになる。僕にとっては、多様な考え方に集中的に触れられたこと自体が、自分の引き出しを増やす材料になった。

一方で、最初からすべてに馴染めたわけではない。特に戸惑ったのが、Slackやオンライン講義でのコミュニケーションだった。投稿や発言には大量のリアクションがつき、独自のスタンプも飛び交う。それまで自分が参加してきた組織やコミュニティとは、かなり違う雰囲気だった。

参加を続けるうち、その中には自分なりに意味を理解できるものもあることが分かってきた。たとえば、講義中に自分の考えを投稿することには、聞いた内容を整理してアウトプットすることで理解を深め、知識を定着させる意味がある。また、投稿した内容が他の参加者にとって別の視点や考える材料になることもあり、投稿そのものを小さなGiveと捉えることもできる。スタンプなどで反応を返すこともGiveの一つになる。僕自身は、「相手をRespectしているからこそGiveする」と理解すると、取り入れやすかった。

もちろん、コミュニティの文化すべてに納得したわけではないし、最初に感じた違和感がなくなったわけでもない。ただ、自分なりに意味を理解できたものについては、実際に取り入れるようになった。

「講演だけ」のつもりが、本気でピッチに取り組んだ

参加して強く印象に残っているもう一つのことが、周囲から受けた応援だった。プログラムなので、ある程度のサポートがあることは想定していたが、実際には「そこまで応援してくださるのか」と感じるほど、メンターをはじめ多くの方々に時間を割いていただき、相談や壁打ちを重ねることができた。

これだけ応援していただいているのだから、中途半端にはできない。そう思うようになり、ドコモアカデミーだけでなく、並行して参加していたドコモスタートアップカレッジにもかなり本気で取り組んだ。朝早くからピッチの練習をしたり、夜遅くまで壁打ちをしたり、ときには徹夜することもあった。

結果として、ドコモアカデミー、ドコモスタートアップカレッジともに、最終ピッチに進むための予選を通過することはできなかった。ただ、両方のプログラムを終えた頃には、参加して得たものがいくつも自分の中に残っていた。応援したいと思える仲間に出会えたこと、普段の仕事だけでは接点のない人や考え方に触れられたこと、自分自身が強く応援される経験をしたことなどである。また、もともと持っていた「まずやってみよう」という姿勢も、以前より強くなったと感じていた。

人との対話を通じて、自分の経験の見え方が変わった

今回の振り返りで、あらためて大きかったと感じたことの一つが、自分自身の経験に対する見方の変化だった。ドコモアカデミーに参加する前、僕にとってスタートアップや新規事業は、自分とはかなり離れた「別次元」の世界だった。それが、実際に新しい事業をつくろうとしている人や起業家と接し、話をするようになると、自分とは無関係な特殊な世界ではなく、自分とも接点を持てる世界として見えるようになった。

そうした人たちとの対話の中で、自分の経験についても、それまでとは違う反応をもらうことがあった。仕事、海外生活、旅行などについて話すと、「それは面白い」「もっと話した方がいい」と返してもらう。自分では人に話す材料として特に意識していなかった経験にも、相手から反応が返ってきた。

これは、自分一人で棚卸しをして「自分には価値のある経験がたくさんある」と結論づけたという話ではない。人に話し、その反応が返ってくる中で、自分の中にも、人に渡せる材料が思っていた以上にあることに気づかされた。仕事上の実績だけではなく、海外で暮らしたこと、旅をしたこと、うまくいかなかったことも含め、自分が経験してきたことは、伝え方によっては誰かに渡せるものになりうる。この経験の見方は、その後の自分にも残っていた。

応援される側を経験したことも、その後の自分に残っていた

もう一つ、今回あらためてつながりを感じたのが、自分自身が強く応援された経験だった。僕は普段の仕事でも、誰かが新しいことをやろうとしていれば、「それいいじゃん。まずやってみよう。うまくいかなかったら、また考えればいい」と言うことが多い。ドコモアカデミーではその立場が逆になり、今度は自分がアイデアを話し、それに反応してもらい、相談に乗ってもらい、次の一歩を後押ししてもらう側になった。

そうして自分自身が応援される経験を重ねる中で、「自分もなんとかできるかもしれない」という感覚が以前より強くなった。これはプログラムを終えた頃からある程度自覚していたことだが、今回、その後の出来事まで含めて振り返ることで、別の場面でも同じ感覚を持っていたことに気づいた。

その後の経験を振り返って見えたつながり

ドコモアカデミー修了後、僕は健康面で、今後の生活を大きく変える可能性もある問題に直面した。そのときに考えたことの一つが、この経験をただ失っただけのものとして終わらせたくない、ということだった。もちろん、そう考えた理由をすべてドコモアカデミーに求めるつもりはない。もともとの負けん気や、それまでの経験もある。

ただ今回、ドコモアカデミーへの参加からその後までを続けて振り返ったことで、自分の中に残っていた二つの感覚とのつながりが見えてきた。

・自分が経験してきたことには、人に渡せるものがあるかもしれない
・自分自身も、なんとかできるかもしれない

健康上の問題そのものに価値があると言いたいわけではない。ただ、その経験を通じて知ったことや考えたことを、自分の中だけに閉じず、誰かのために使える形にできないかと考える方向に、自分の意識が向いた。

当時は、こうした考え方とドコモアカデミーでの経験を、ここまではっきり結びつけてはいなかった。今回振り返る中で、ドコモアカデミーで気づかされた「自分の経験には人に渡せるものがある」という感覚と、「自分もなんとかできるかもしれない」という感覚が、その後の自分にも残っていたことが見えてきた。そして、それが自分の中にあった「経験は価値に変えられる」という見方ともつながっていた。

今回の説明会に向けた準備が、単なる過去の整理にとどまらなかったのは、こうしたつながりに気づけたからだと思う。

これから、自分の外に何を残していくか

今回の説明会に向けて過去を振り返る中で、ドコモアカデミー4期で講師だった田口一成さんのTEDを、遅ればせながら見た。そこで語られていたのが、「人生の価値は、何を得るかではなく、何を残すかにある」というメッセージだった。

僕自身はちょうど、ドコモアカデミーで何を得て、それが今の自分にどう残っているのかを考えていた。そのため、田口さんの話を聞いたことで、その先にある「自分はこれから何を残していくのか」ということにも目が向いた。

そして今日8月27日には、ドコモアカデミーをきっかけに活動を広げてきた3人が登壇する。ウェルビーイング、アート、ワーケーションや地域とのつながりづくりという、それぞれ異なる領域で活動している、ドコモアカデミーを通じて僕との関係が深まった仲間たちである。3人はそれぞれのテーマで活動を続け、その中から新しい人のつながりや活動の場も生まれている。

今回の振り返りを通じて、自分がドコモアカデミーから何を受け取り、それがその後の自分にどう残っていたのかは、以前より具体的に見えるようになった。これからは、これまでに得てきたものや自分自身の経験を、自分の中だけに置いておくのではなく、それを使って自分の外に何を残していけるのかということにも、意識的に取り組んでいきたい。

参考情報

ドコモアカデミー、ドコモスタートアップカレッジについては、以下の公開情報でも紹介されています。

働きがい このままでいいんだっけ?
https://www.docomo.ne.jp/corporate/anatatodocomo/docomoeveryday/sdgs/011/

NTTドコモ「育成・研修制度」
https://information.nttdocomo-fresh.jp/environment/improve/

docomo STARTUP「ドコモスタートアップカレッジ」関連インタビュー
https://startup.docomo.ne.jp/blog/college_interview/

リスキリングナビ「ドコモアカデミー」関連記事
https://reskilling-navi.com/column/docomo-academy1

先端教育オンライン「ドコモアカデミー」関連記事
https://www.sentankyo.jp/articles/98a8d527-9d52-4aa9-b1c8-89c02a7ca037

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